画   材


-----日本画の表現に欠かせない、主な画材です---- 村田林藏

天然岩絵具

天然の原石を粉砕し顔料としたもの。粒子を数段階に分けて作るため、粗いものは色が濃く細かいものほど淡くなります。写真は群青と並ぶ代表的な緑青色で、原石は「孔雀石」と呼ばれる銅の酸化化合物です。なお、他色との混色のほか、フライパン上で焼くことにより好みの色を作ったりもします。(次の写真の様に、焼く時間が長い程、渋く重い色合いに変化していきます)

胡粉(ごふん)

日本画では欠かすことの出来ない白色顔料。蛤、牡蠣、ホタテなどの貝殻を長期間風化させのちに精製して作ります。主な成分は炭酸カルシウム。白としてだけでなく他の色と混ぜて新たな色を作ることも多く、下塗りから仕上げまで幅広く使われます。

膠(にかわ)・箔

膠は、顔料を和紙などの表面に定着させる接着剤として特に重要な働きをするもので、動物の皮・骨などから作り棒状に乾燥させています(三千本膠)。鍋で好みの濃度に煮て、皿で顔料と練り合わせます。箔は、金・銀・プラチナ他多種あり、やはり膠で四角のまま押したり竹筒を用い砂子状に撒くなど、様々な表現に利用されます。

刷毛・筆

刷毛や筆には、いたち、リス、狸、羊、鹿、馬などの毛を利用した様々なものが揃っており、広い面の地塗りから仕上げの細かい描写まで、折々の表現に合わせ使い分けます。一本に3本・5本・7本をまとめた日本画特有の「連筆」れんぴつは、絵具の含みが良く腰もあり使い易い筆です。

和紙

どのような和紙に描くか決まりはありません。それぞれの特徴を生かした紙を選んで表現しますが、基本的に絵具の定着が良いように「ドーサ引き」というにじみ止めを施してから制作します。最近では、楮と麻を混ぜた丈夫な「麻紙」が使われることが多いようです。写真㊤白麻紙 しろまし、 ㊦雲肌麻紙くもはだまし。
なお、最近では少なくなりましたが「絹本」も伝統的な基底素材として使われ、主に掛け軸に仕立てます。

絵具皿・乳鉢・筆洗

顔料の粉末に膠液を練り合わせるため必要な、真っ白な皿です。溶く絵具の分量に応じて大小を使い分けます。乳鉢は、胡粉や水干絵具など固まった絵具を細かく摩り下ろすために用います。また筆洗は、筆を洗う他にもぼかすための水を含むなど、常に多用します。